香炉とは?お香とは?

香炉とは?

悪臭を退ける道具から清める道具へ

 香炉とは、香木や香草を焚き、芳しい薫りを出して人の気持ちを心佳くするための器を言います。

 もともとはインドで悪臭を退けるものであったと言われていますが、これが仏教の法事に使われて、仏前で芳しい薫りを出し同時に周りを清めることに使われたと謂います。この仏教用具の香炉が古代の中国や朝鮮に伝播し、日本にやって来たと多くの本に書かれています。

生活用具としての香炉

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 確かに日本には香炉や香木は仏教伝来に伴って招来されたといいますので、日本においては「仏教用具としての香炉」が招来し使われたという説は正しいようです。

 しかし、中国では紀元前221年に終わる「戦国時代」末期に香炉が現れ、馬王堆墳墓には香炉の絵が描かれていると言われていますから、私は仏教伝来以前の中国にインドまたはエジプト、ローマ帝国などから芳しい薫りを出し体臭などを消す「生活用具としての香炉」が伝わっていたのではないかと思っています。香水が12世紀のフランスで皮革生産の時の匂いを消すために発明されたと謂われているのと同様な使われ方だと思います。

 日本には、たまたま仏教伝来とともに当時の権力者層への招来でしたから、その後、平安時代初期までは仏教用具として使われ生活用具としては使われなかったのだと思います。

 日本では体臭などの生活臭を消すという意識がなかったのは、日本の気候や食事、それに禊という習慣と関係があったのかもしれません(「日本では神を敬うのに禊と拍手をする。中国には無い風習」と中国の古代書に書かれていたと記憶しています)。

生活用具として使われていた根拠

 私が、日本では古代、生活用具としての香炉の使われ方をしていなかったという考えを述べましたが、この考えを変える可能性がある香炉が出てきました。

 平成25年10月26日に開催された「第65回正倉院展」に出展される「漆金薄絵盤(うるしきんぱくえばん)」が底部の「香印座」の墨書のとおり、平成25年10月上旬の複製品実験により香炉の実用品だと判明したのです。

 この漆金薄絵盤は、型状・香の燃焼時間が相当長いところから言えば仏教儀式用の香炉ではなく、宮廷で宮廷人に提供するために使用されていた可能性があると思います。

 仏教伝来から時を経ずせず、生活用具としての香炉が日本に伝来していた。または、仏教伝来以前に生活用具としての香炉が宮廷に伝わっていた可能性があります。

香炉の種類

 香炉の種類は、仏教の儀式に使う仏事香炉、吊り下げて使う吊香炉、柄がついている柄(え)香炉、像の形を使った象香炉、棚や机上に置いて使う据(すえ)香炉、香盆の上から被せて使う伏(ふせ)香炉があります。

仏事香炉

 いろいろな形や大きさがあります。お寺の本堂の内外に置いてある香炉、家庭の仏壇に置いてある、本体も火舎(ほや)も銅で作られた香炉を思い浮かべてください。

吊香炉

 かぎ型や環で吊り下げて使う香炉で、香りを四方に流したりする時に鴨居や垂木から吊り下げて使います。

柄香炉

 炉の本体に柄を付けて手に持って使います。もともとは仏事用の香炉を、それ以外の場でも使うようになったものでないでしょうか。玉虫厨子に描かれているところを見ると、聖徳太子の頃からあったようです。

象香炉

 これも、もともと仏事用の香炉で、僧が本堂や灌頂壇に入るときに、この香炉をまたいで身を香で清めて入ります。もともと仏教には右入(うにゅう)と言って右回りに礼拝するというのがありますが、この象香炉は宗派によって僧の右に置くのか左に置くのか流儀があるようです。お釈迦様(ゴータマシッダルタ)がお誕生のとき、お母様の体内に白象が入ったと伝わっていますので、このことから象が選ばれているのかもしれません。
 最近、この象香炉を愛でる一般の方々が出て来られましたので、仏事用香炉と分けて記載しました。

据香炉

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 これが私たちが香炉と呼ぶ一般的な香炉です。様々な形と材質があります。火舎ともども銅や陶器や磁器や玉など様々な材質で意匠を凝らしています。

伏香炉

 一番なじみが無い香炉だと思います。香を載せる盆に、人形や寿老人や獅子などの形をしたものをすっぽりと被せて、口や鼻などの穴から香煙を出します。思いがけない所から香が出てくるので、人に意外性をアピールする効果があるようです。

当店取扱いの香炉

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当店では、据香炉に力を込めて集めています。

 扱う据香炉の材質は、陶器、磁器、古銅器です。玉や象牙や骨などの香炉は扱っていません。

 また、質の良いものが手に入れば、吊香炉(殆どが銅器)や伏香炉、像香炉も店に陳列しています。

 一端を示しますと、江戸時代中期の青木木米作の青磁獅子香炉、江戸末期の水越与三平作の京薩摩香炉、明治初年の藍九谷大香炉、江戸中期の備前太鼓香炉、古銅雷神香炉、大聖寺伊万里香炉、江戸後期の九谷豆香炉、江戸後期の古萩香炉、辰砂大香炉など、たくさんの香炉を扱っています。